EL プレーオフ バルセロナvsナポリ 1stleg マッチレビュー
どうも、くれたです。今回はヨーロッパリーグのナポリ戦1stlegのマッチレビューです。今シーズンからアウェーゴールの制度がなくなり、これまで慎重第一を意識していた各チームが自分たちの持ち味を存分に発揮することができるようになったのではないでしょうか。2ndlegでも優位性を持つためにカンプノウでのこの試合はリードの状態で終えたいですね。
ちなみにナポリはセリエAで最少失点のクラブであり、その牙城をいかにバルサが攻略するかも注目のポイントです。
スタメン
エスパニョール戦と比較すると、シャビはメンバーを少し入れ替えた。ブスケツ、ガビ、デストを外してミンゲサ、ニコ、オーバメヤンをスタメンで起用。デヨングはブスケツの代わりにピボーテの位置に入り、真価が試される。
有名どころの選手で言うと、ビッグクラブから声がかかるクリバリ、イタリア代表のディロレンツォとインシーニェ。スペイン代表のファビアンルイス。中でも注目はトップに君臨するオシメーン。
両チーム嚙み合わせ
ナポリ戦はこれまでと起用された選手やポジションが違ったために、エスパニョール戦との変更点もかなりあった。
ナポリ守備時の特徴とデヨングの違和感
ナポリは守備時にトップ下のジエリンスキがオシメーンの隣に上がって4-4-2のブロックを形成。この2トップはバルサのCBがボールを保持している際に1人がボールホルダーにプレッシャーをかけながらもう1人はデヨングをケアするよう守備していました。
ここで悪く目立ってしまったのがデヨングのオフザボールの動き。どうしてもブスケツと比べるのはかわいそうだが、、彼にはそれだけのポテンシャルがあり、期待されている。ブスケツならこの場面で瞬時にCB間に降りて3対2の数的優位を作り出してビルドアップをしていたと思うが、今回のデヨングはCBから見てパスができないような立ち位置にいたり、CB間に降りることがあってもその判断が遅れることがあったように見えた。
いやなんか、うまく表現できないけど、デヨングのアンカーはボールに寄り過ぎてチーム全体の攻撃の舵取りがぎこちない感じ。
— くれた (@Cule_tactical) 2022年2月17日
そして何より徹底されていたのがトラオレの対策だ。トラオレの縦突破をケアするためにナポリの左SBであるジェズスが常にトラオレを視野に入れながらボールが渡るころにはトラオレにペースを握らせないように間合いをかなり詰めていた。また、トラオレ対策はこれだけではなく、ほとんどのケースでトラオレに対してジェズスとインシーニェの2人で対応していた。ジェズスが縦突破のコースを消し、インシーニェが内側のコースを切った。
ここからはバルサ側の話。
デストや登録外のアウベスの代わりに起用されたミンゲサ、ビルドアップを停滞させるほどの悪いポジショニングではなかったものの、エスパニョール戦のデストのように自分がどこにいるべきかが判断できていないシーンが多くあった。デストやアウベスのような攻撃的なSBではないためピケとポジションが被ることがあり、1人で十分だったポジションに2人いるという現象が起きていた。この大一番で起用するにあたってシャビも数日前から右SBとしての動きを仕込んでいるものだと思うが、そう簡単にできないのがアウベスロール。アウベスが恐ろしい。
次はオーバメヤン。ナポリ戦でバルサで初のスタメンとなったオーバメヤンは可もなく不可もなくという感想。プレミアで培ったインテンシティは守備時にナポリを追い込む際に発揮され、チャンスにつながるシーンもあった。特徴のスピードを活かす裏へのボールが出るシーンはなかったものの、積極的にナポリの最終ラインと駆け引きを行い、ラインを下げさせる働きも見せた。なかでも目立っていたのはビルドアップを助け、円滑にするポストプレー。このポストプレーによってぺドリやフェランが前を向いてボールを受けることができるようになり、右の大外に張ったトラオレへのパスなどのチャンスメイクに繋がった。しかし、ボールがうまく足元に収まらないこともあり、ボールロストも時折見られたため、要改善。
最後に両IHで起用されたぺドリとニコの動き。彼らはバルサのボール保持時にナポリの中盤の4枚のゲート間、4-4のブロックのライン間でボールを引き出すことを常に意識していた。ぺドリのナポリ戦での圧巻のパフォーマンスは後述するため、ここではニコについて触れる。久しぶりにスタメンとして起用されたニコは悪くもないが、効果的なはたらきはできなかった印象。ぎこちないデヨングの補助に回る気の利かせ方は良かったと思うが、個人的に行ってほしかったアクションがある。それは右サイドのポケットを取りに行くランニングだ。先述したようにトラオレに対してナポリはジェズスとインシーニェの2枚体制で対応していたため、トラオレはかなり手を焼いていた。さらに、ミンゲサはインナーラップするタイプの選手ではないため、トラオレの選択肢が少なく、強引なドリブル突破を試みるシーンが多かった。トラオレがボールを持っている状態でニコがポケットを取りに行くランニングができれば、攻撃の幅は広がりナポリの守備ブロックも自ずと崩れていたかもしれない。事実、右サイドがデンべレとガビのセットになり、デンべレがボールを持つとガビは積極的にこのスペースをランニングし、チャンスを多く作り出した。
バルサのカギとなったぺドリ
スーペルコパのクラシコのマッチレビューでも記述したが、ぺドリは正直レベルが違う。積極的にゲート間、ライン間にポジショニングを取り、数人に囲まれてもボールを失わず、ラストパスの頻度も多くなった。言わずもがなの運動量も忘れてはいけない。アトレティコ戦で右IHとして起用され始めてからぺドリはボールに関与する回数こそ減ったものの、相手チームにとって一番嫌なポジションに立ち、ラストパスやサイドチェンジなどの重要な仕事を担うことが多くなり、ぺドリの真の力が発揮されつつある。この辺りを見ると、ぺドリはシャビでもイニエスタでもなく、メッシに近づきつつあるなと感じた。
ただ、個人的にナポリ戦はニコとぺドリは左右逆のサイドでプレーするべきだったかなという印象を受けた。トラオレによってインシーニェとジェズスを引き付けているため、ぺドリのプレースペースできる時間とスペースが広がり、ゴールに直結するプレーがより多くできたのではないかと感じた。
露呈した決定力不足とフェランの魅力
ナポリ戦、結果的に1-1というスコアで終えたものの、バルサがもっと得点して試合終了のホイッスルを迎えていても全くおかしくなかった。トラオレのPK獲得によってフェランが沈めた同点弾から息を吹き返したバルサが怒涛の攻撃を見せるも、フィニッシュの精度が上がらず、そのまま試合終了。カンプノウでの試合であっただけになんとも悔しい結果である。ただ、冒頭にも述べたように守備の国イタリアのセリエAで最少失点を誇るナポリからこれだけの攻撃を見せることができたのだ。そこまで悲観することもない。
Barcelona (2.07) 1-1 (0.84) Napoli
— The xG Philosophy 🇪🇺 (@xGPhilosophyEU) 2022年2月17日
ここで取り上げられるのはやはりフェランだろう。数々の決定機を逃し、試合後には責任を感じて涙を流した。もちろん、すべての決定機を決めろとは言わないが、フェランなら決められた決定機もあったはず。あるデータによると、シティでのフェランのゴールパターンの内、ほとんどがワンタッチゴールであるという。これは単なるいわゆるごっつぁんゴールが多いということが言いたいわけではなく、ゴールに直結する場所にフェランはポジショニングできるということである。
このようなフェランの特徴を考えると、WGでの起用ではなく、よりゴールに近いCFでの起用の方が彼にとってやりやすいのかもしれない。
後半の間延びを解消しつつあるバルサ
近年のバルサの大きな課題として挙がっていた間延び。それがここ数試合はあまり見られなくなった。ナポリ戦は後半に同点に追いつき、イケイケムードで試合を進められていたことが要因だと思うが、後半のこの時間帯をバルサらしく制するにはやはりボール保持によって生み出す試合の主導権争いにおける勝利だと感じる。それがリードした展開でのボール保持ならなおさら効果アリ。
リードした展開を作り出すためにも決定力はやはり見逃せない要素だ。しかし、これはヨーロッパリーグ。CLとなればもっともっと厳しい戦いが待っており、高インテンシティが求められるに違いない。かつてのバルサのようにテクニックだけでなんとかなる時代は終わりを迎え、テクニックとフィジカルの両面が求められる時代となった。クラブの性質上、テクニックのある選手を獲得する傾向があるバルサをシャビはどのようにして高インテンシティの試合に耐えうるチームへと鍛えていくのかが非常に楽しみである。
今回は以上です。いかがでしょうか?カンプノウでの試合であっただけに勝利を飾りたかったですね。ぺドリの圧巻のパフォーマンスはあっぱれでした。
たくさんの方に読んでいただきたいので、ぜひ拡散をお願いします!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!