EURO2020 準決勝 スペインvsイタリア マッチレビュー ~美しく散った無敵艦隊~
どうも。くれたです。今回は先日行われたEURO準決勝スペインvsイタリアの振り返りをしていこうと思います。さすがEURO、さすがサッカー大国と言わんばかりの激闘でした。PK戦を除けば、得点こそ1-1であったものの、非常に面白い試合となりました。
スタメン
スペイン
ルイスエンリケはこれまでの試合から前線の選手や並びを大きく変更し、奇策気味で試合に臨んだ。
CL決勝のペップといい、大一番で奇策を使うと、あまりうまくいかないジンクスのようなものが頭の中をもやもやとしていた。
しかし、中盤の三人への信頼は絶大である。特にペドリは全試合先発出場し、多大なる貢献をしている。
EUROでは一度も先発起用されなかったオヤルサバルの起用、ダニオルモを0トップでの起用など、見る側に少なくとも不安を与えるような布陣で臨んだ。
イタリア
一方、ロベルト・マンチーニはメディアの予想通りというラインナップ。
ベルギー戦で今大会で大きな注目を集めるスピナッツォーラをケガで失い、代わりにエメルソンが出場している。
また、右SBはフロレンツィという予想もあったが、ディ・ロレンツォを起用。右WGにはベラルディではなくキエーザを起用。
これらの3選手以外はこれまでの試合でも常連といったメンバー。
前半
試合前での情報では、両チームともボールを握りたく、優秀な選手が揃う中盤での主導権の有無によって試合の優劣がつくのではないかという予測。基本的にスペインがボールを握り、イタリア陣地でのプレー時間が多かった。イタリアがボールを握れるのはボール奪取時に襲い掛かってくるスペインのファーストプレスをかわせたときぐらい。
イタリアは試合序盤にオフサイドであったものの、バレッラのシュートがポストに当たるなど、あと一歩のところで得点が奪えないでいた。
経験のあるボヌッチ、キエッリーニのCBコンビ、今大会で一二を争うレベルの中盤の選手のレベルの高さを活かし、支配率を高めようとするも、終始スペインの攻撃を耐えつつ、ボール奪取時に前線にある広大なスペースを狙うカウンターの好機をうかがう。
スペインの心臓であるブスケツはバレッラが監視し、プレスで追い詰めるときも適切な距離感を保ち、ブスケツを介することを何とか防ごうとするも、0トップとしてボールを受けに来たダニオルモがブスケツの代わりにボールを受け、コケとぺドリなどに落として前を向かせる働きが出来ていた。
ダニオルモ起用の意図
今回、ルイスエンリケが奇策として行ったのがダニオルモの起用。しかし、試合を見てみれば、その意図はすぐに分かった。戦前から注目されていたレベルの高い中盤同士の攻防で主導権を握るために、ダニオルモを0トップで起用し、ブスケツ、コケ、ぺドリ+ダニオルモでイタリアの中盤に対し数的優位を作り出し、これまでとは一味違ったラロハを見せつけた。
さらに、ダニオルモの起用はもう一つのメリットがあり、それはボヌッチとキエッリーニを前に引っ張り出すということ。この二人が守るスペースを空けることが出来れば、WGに配置されていたオヤルサバルとフェラントーレスが走り込み、決定機を作ることが出来る。
キーワード:密集
この試合のスペインを見ていて印象に残っていたのはこまめに密集を作って前進をしていること。
現代サッカーでは、チーム全体がある程度縦の幅を保ちながら前後左右することが当たり前になっているが、今回の試合ではそれが顕著に出ていた。
要所要所で完全な数的優位を作り出し、ただ前進するだけでなく、相手をいなし走らせるポゼッションを実現。この画像だけでは表せなかった密集も作っていた。
シンプルな戦術であるが、スペインだからできる質の高さ、美しさを見せつけた。
後半
0-0まま前半を終え、選手交代もなしで臨んだ後半。スペインがやや有利という状況。
前半と比べ、イタリアが少しボールを握る時間が多くなった。
失点
スペインも押し込んではいたが、60分に恐れていたことが起こる。
スペインの攻撃を耐えしのいだのち、ドンナルンマから始まったカウンター。
インモービレへのパスはなんとか阻止したものの、こぼれ球を拾ったキエーザがうまくシュートコースを作り、ゴールの右隅、ウナイシモンでさえ届かないコースへとシュートを放った。
エリックガルシアはもう少し距離を詰めてもよかったと思うが、もう仕方ない。
得点が必要になったスペイン。失点直後にエース?のモラタを投入。中央に置いていたダニオルモは交代させず、フェラントーレスとモラタを入れ替え、モラタをそのまま左でプレーさせた。
得点
押し込みつつ、カウンターも受けつつ、時間だけが過ぎていく中、今回の試合で抜擢されたダニオルモとラロハのエース、モラタが躍動する。80分にモラタが中央でボールを受け、前を向いてダニオルモへパス。ダニオルモは受けたパスをスペースへ走りこんだモラタへワンツー。素晴らしいファーストタッチで抜け出し、冷静に左足でゴール。シンプルな攻撃であるが、一寸も狂わない完璧なワンツーだった。
1-1で迎える残りの10分ほどの後半。イタリアは走らされ、スペインは二試合連続120分を戦っているため、両者ともにここで決め切りたいという気持ちであるが、結局ゴールは生まれず、延長戦へ。
延長戦
106分にブスケツを下げ、チアゴを投入。カードをもらっていたとはいえ、スペインにとって必要不可欠であるブスケツをきつくなってくる時間帯にこうたいで外すのは少し疑問。代わって入ったチアゴも結果論ではあるが、あまり活躍できなかった。イタリアも107分にはゴールを決めたキエーザを下げ、ベルナルデスキを投入。
相変わらずペドリは延長戦でもいろいろなところに顔を出し、味方のサポートを行う。
ここまでお互い体力を消耗し、両者の試合の終わらせ方に違いが出てくる。
スペイン・・・もう二試合連続で延長戦戦ってるし、疲れたから、PK戦に進む前に点取って終わりたいよ~
イタリア・・・スペインは疲れてるはずだから、このまま無失点で終えることを考えて、PK戦でもつれ込んで勝利を狙おう。
残念ながらスペインの望み通りにはいかず、イタリアの思うがままとなった。
PK戦
PK戦の駆け引き(特にGK)などはくれたにはよくわかりませんので、詳しく書けません。別の方の記事をご覧ください。結果は4-2。ウナイシモンもよく頑張ってくれました。
ざっくり総括
ロシアワールドカップからさまざまな変化を遂げたラロハ。イニエスタやピケ、ラモスがいないなかでの初の国際大会であり、全盛期と比べ、全体的にタレント不足が嘆かれた中、我々の予想以上に奮闘し、美しいサッカーを見せてくれた。ぺドリやラポルト、エリックガルシアなどの新しい風を取り入れつつ、ブスケツやアルバなどのベテランをうまく共演させたルイスエンリケ、素晴らしかった。GSの最初の二試合を勝ち点を拾えず、得点も取れないでいたあの時のラロハとは大違いであった。試合をこなしていく度にチームとしての総合力を高め、徐々に我々がみたいラロハに近づいた。大一番にラロハらしい美しくサッカーを見せ、負けてしまったものの、文字通り美しく散った。
しかし、これで終わりじゃない。来年にはカタールワールドカップを控え、ラロハにはカルバハルなどの優秀な選手がいて、なんといってもクレが大きすぎるぐらいの期待を寄せるアンスがいる。これで得点力不足も少しは解消されるだろう。
以上でEURO2020 準決勝 スペインvsイタリア マッチレビューを終わります。だいぶ長くなりましたが、読んでいただいてありがとうございます。是非拡散をお願いします。感想等もよければ。
ありがとう、ラロハ。